日本のウイスキーに使われる大麦麦芽の99%以上は、海外からの輸入。
その常識を変えるため、有明産業は2025年、北海道で国産二条大麦の試験栽培に挑戦しました。
種まきから収穫、そして麦芽完成まで。その全記録をお届けします。
🌱 播種 — 北海道の大地に種を蒔く
2025年4月末、北海道の旭川近郊と帯広の農家さんにご協力いただき、大麦の試験栽培がスタートしました。
ジャパニーズウイスキーの新しい可能性を広げるため、国産麦芽の安定供給を目指して、ひとつひとつ丁寧に取り組む挑戦の始まりです。

🌿 出芽 — 小さな命が動き出す
5月20日、圃場を確認。播種した種は無事出芽し、畑一面に小さな幼苗がしっかり育っていました。
農家さんからこんな言葉をいただきました:
「3歳の孫娘がいる。将来その子が大人になったとき、これがおじいちゃんが造った大麦から造られたウイスキーだって言って一緒に飲みたい。ロマンがあるよね。」

📋 茎数調査 — 農家さんとの二人三脚
6月5日、大麦の茎数調査を実施。畝ごとに茎の数を数え、今後の管理や次年度の試験に活かすための大切なデータ収集です。
区画ごとに播種量(種をまく量)を変えて実施し、地域や圃場ごとの最適解を農家さんと共に探っています。

🌾 出穂 — 穂が風に揺れる
6月23日、ついに大麦が「出穂」。前回40cmほどだった背丈が80cmに成長し、畑に並ぶ麦の穂が風に揺れる姿は感動的でした。
4月末に播いた小さな種が、芽を出し、茎を伸ばし、こんなに立派に穂をつけてくれるとは。

⚡ 倒伏 — 自然の厳しさ
7月3日、一部の圃場で季節外れのヒョウにより大麦が倒伏。播種量が多く密度が高かった区画で被害が出ました。
撒きすぎると密度が高くなり大麦同士が競い合って伸びすぎ、倒れやすくなる。逆に少なすぎると収穫量が増えない。このバランスの最適解を見つけることが、来年以降の課題です。
幸い、倒れたのは一部のみで多くの大麦は無事でした。
🌾 黄金色の麦畑
7月10日、旭川市近郊・東神楽町の畑。倒伏もなく順調に育った大麦畑は、フサフサの穂が風に揺れる雄大な光景でした。

7月29日には、丹丘蒸留所の皆さんと黄金色の畑をバックに記念撮影。ともに北海道上川地域を盛り上げていきたい大切な仲間です。

🚜 収穫
8月上旬、ついに収穫の時。北海道の大地で育てた大麦を、トラクターで一気に刈り取りました。農家さん、関係者の皆さまに感謝です。
📹 収穫の動画を見る

🛌 休眠 — 麦芽にできるまで待つ
収穫した大麦は、すぐに麦芽にできるわけではありません。植物としての大麦には「休眠」という、発芽を一定期間止めるスイッチがあります。
この休眠が不十分なまま麦芽にしようとすると、発芽しない・発芽が不均一・酵素量が不十分といった品質問題が起きてしまいます。年明けの製麦開始まで、しばらくおやすみです。
⚠️ 試験栽培のリアル — 20トンのうち5トンは麦芽にできず
今回収穫した大麦は20トン。しかし、そのうち5トンは麦芽にできませんでした。
発芽率の問題
死んだ大麦が混ざると発芽工程中にカビが発生するリスクが高まり、重大な品質欠陥に。
高タンパク質
ビールでは雑味の原因に、ウイスキーではアルコール収量が低下。猛暑と旱魃が原因。
麦芽にできなかった5トンは、麦焼酎の原料として活用。今回の大麦は、ビールになり、焼酎になり、そしてウイスキーになります。せっかく育てた大麦。決して無駄にはしません。
🌾 麦芽、完成
2026年2月、ついに麦芽が完成しました。大麦に水を含ませ、発芽させ、ちょうどよいタイミングで乾燥させて発芽を止めるシンプルで繊細な工程を経て、ウイスキーの原酒づくりに必要な酵素を宿した麦芽が生まれました。

派手ではないけれど、ウイスキーの味わいの土台になる大切な存在。この根っこ一本一本が、未来の”価値ある一杯”につながっていきます。
📅 大麦栽培プロジェクト タイムライン
| 2025.04 | 北海道(旭川近郊・帯広)にて播種 |
| 2025.05.20 | 出芽確認 |
| 2025.06.05 | 茎数調査 |
| 2025.06.23 | 出穂(背丈80cm) |
| 2025.07.03 | 一部倒伏(ヒョウ被害) |
| 2025.07.29 | 黄金色の畑 — 丹丘蒸留所と記念撮影 |
| 2025.08 | 🚜 収穫(20トン) |
| 2025.09-2026.01 | 休眠期間 |
| 2026.02 | 🌾 麦芽完成! |
この記事は、FiNANCiEコミュニティ「WE LOVE WHISKY」内での投稿をもとに構成しています。